ジョンモクスリーが語るWWEでのプロモ撮影やクリエイティブプロセスの裏側・「恥ずかしすぎるセリフを消してほしいと言えばビンスからメモが…」「何故俺はここで働いているのか?」

ジョンモクスリー(ディーンアンブローズ) ビンスマクマホン
Photocredit: whatculture
!長いです!
ジョンモクスリーPC3本目。コレコレの続きです。今回はディーン・アンブローズとプーパースクーパーとビンス・マクマホンの話を中心に、WWEの裏側を垣間見ることが出来る回。

 

Talk Is Jericho w/ Jon Moxley 05.29.19

 

その日、俺はライターの部屋にいてスマホを出して残された日数を数えていたのを覚えてる。場所はロサンゼルス、ショーは17時スタートで、セスと俺は正午ごろに会場入りした。その頃俺はヒールで、セス・ロリンズと抗争していたんだ。

 

会場に入ってすぐ、大量のライター達が大量の台本を手渡してきた。内容としては、セスがリングに出てきて「俺に挑戦する」と宣言したところにスクリーンで登場、プロモを切って最後は乱闘に…という簡単なものだったが、その晩は何と演らなきゃいけないプロモが6本もあった。つまり、長い日になるということだ。知っての通り、30秒で済むプロモの撮影に40分を費やすのがWWEだからな。

 

渡された台本に載っているのはいつだって典型的なWWEの台本の内容だ。大袈裟で長ったらしいワードに、愚かなワードばかり。俺達はファンに筋の通ったストーリーを伝えることも出来ないし、キャラクター像を伝えることも出来ない。もう何が何だかだ。

 

中でも最も困惑したのはあの晩の最後に演ったプロモだった。ライタールームに入って、渡されたプロモを読んで…できるだけ非難しないで済むように、もう一度目を通した。だが俺の意見では、その台本はゴミと呼ぶにも申し訳ないような、末恐ろしいほどのクソだった。

 

要旨としては、「ここに来ているのは悪臭のする、胸糞悪いヤツらだ」的なセリフだった。みんなも「リバプール!皮膚病みたいな名前だな!」とか抜かすビンスの表情まで思い浮かべられるはずだ。

 

最も目を引いたのが「俺はプーパースクーパー(※犬の糞を集めて捨てる道具)無しではこの会場にも出てこられやしない」みたいなセリフで、俺は「は?こんなこと言わないからな」と思い、変えさせようと行動に移った。ライターに聞けば「誰が書いたかはわからない」と言ったので、おそらくビンスだろうと。

 

これがWWE社内に存在するクリエイティブ・プロセスだ。今でもそれがどのように機能しているのか理解出来てないが、まあとにかくその時はビンスがミーティングで不在だったんだ。だから俺達はその間、つまりビンスが再び台本を手に取る時までに何とか、プーパースクーパーの一文だけを削除して刷り直そうとしていた。

じゃないと台本を見た瞬間に「Oh、素晴らし過ぎる!最高だ!」ってビンスが恋に落ちてしまうからな。ちなみに台本のセリフには、「浅はかなロサンゼルスのゴミ共め、ガスマスク無しではこの場に出てこられなかっただろう」みたいなのもあった。後々重要になるから覚えておいて欲しい。

 

とにかく当時は、「まあセリフは言わないかもしれないけど、その心配は後にしよう。とにかく今はプーパースクーパーのくだりを削除したスクリプトを作ってビンスの前に提出しないと」という一心だった。だってほら…恥ずかしすぎるからな。そんなこと言えない。その台本を提出して、オリジナルバージョンじゃなくて修正版を採用してくれることをひたすら祈ってた。

 

その頃はもう精神に異常をきたしていて、疲れ切ってた。だが別のライターと次のプロモを録らなきゃいけないから、撮影場所の廊下へ向かった。するとまたしてもプロモの内容が意味不明で、俺が何を言っているのか伝えたいのか、そもそもヒートを買おうにもこんなセリフでどうすればいいのかすらてんでさっぱりだった。

 

そこで俺はライターにそのままの心境を伝えたうえで、「こうやってアホなセリフやらを取り除いて、少しでも自分のことをバカに見せないようにするために走り回って…こんなことをしなくて済んだら、みんなで落ち着いてより良いストーリーを伝えることが出来るだろう。それが現状は何だ?クオリティーの高いものを作り上げるよりも、自分たちが愚かに見えないようにって自己防衛ばかりに走ってる」と言ったら、「はあ…うーん……まあ…」みたいな返事。

結局そのプロモの収録を終えて、ライタールームに戻って、「何か状況にアップデートは?」と聞けば、何も無かったんだが、代わりに”VKM(ビンス・ケネディ・マクマホン)からのメモ”が届いてたんだ。

 

そこにはこう書かれていた。「VKMより:ディーンはなぜ観客を侮辱する必要があるのかを理解する必要がある。彼は一言一句細かく読まなきゃいけないし、書き直そうなんてすべきじゃない」─ハァ……(大きい溜息)。内臓を殴られたみたいな心地だった。

 

ライターの彼が悪いわけではないが、彼に向かってデカい声で言ってしまった。「何故俺はここで働いてるんだ?俺はストーリーを伝えて、プロモを創作できるプロフェッショナルレスラーなのに!俺は会場内の全ての人に語りかけられる能力があると信じてる。何年も前にマイクスキルも磨いたんだって信じてるし、そうした能力をWWEで活かしたいと思っていたんだ。それが今じゃ馬鹿げたセリフをただ読めと言われる。そこまで誰かに馬鹿みたいなセリフを読んで欲しいのなら、俳優を雇った方がきっといい仕事をする。俺はそんな仕事に興味はない!」とな。

 

こんな状態だったが、俺は修正版台本が用いられることをまだどこか期待してたんだ。だから俺は他のプロモを録りに行って─それがまたまた理解不能で、ビンスの下に行かなくちゃならなくなった。

(ここからはロマンレインズへの侮辱スクリプトのくだりに続きます)

 

…同じような経験があれば、その時俺がどれだけ疲労困憊だったか想像できるだろう。そしてライタールームに戻ってきたら何と!Success!プーパースクーパーのくだりが削除された俺達のバージョンのプロモが採用されていたんだ。

 

ここは聞くところによると─真偽のほどは不明だが─”天才”とされる男一人が全権を握るビリオンダラー・カンパニーであること、そして俺達は皆立派な大人でありながら、こんな話ばかりしているということを心に留めておいてほしい。それで、俺達のプロモが採用されたのは良かったんだが、そこにはまたしてもビンスによって書かれた加筆があった。

 

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